齋藤 典久 展 わたなべ画廊(埼玉県飯能市)
2016年4月、5年振りにアイルランドを旅した。
アラン島の港は相変わらずの風景で、吹きさらしの風が舞い、幾度と
訪れた記憶が蘇る。
今回の旅の目的は、十数年の制作の拠点としてきたアラン島を訪れる
こと、もう一つはアイルランド本島にある「Bog」(湿原)とアイリッ
シュロマネスクの傑作と謂われるレリーフのある教会をどうしても訪
れたかった。
石の島
アラン島をモチーフに何枚描いただろう。
アラン島のとどまることのない大気の変化は、自分も含め全てのもの
の輪郭を緩め、地と空が一体となった風景の原形を見せている。いに
しえから延々と続いてきたであろう光景
”風景にして風景にあらず”
ー先人達も見ていた
Bog
bogとは植物が腐食して泥炭になった湿原地(泥炭)をいう。湿原の植物
が長い時を経て腐食し堆積した泥炭を掘り起こし自然乾燥させたものを
peatといい、暖炉やキッチンの燃料に使う。ボグを掘り起こす(digging)
作業中に、2,000年前のバターの大きな塊が出て来たり、いにしえびとや
ケルト人のミイラが綺麗なままで発掘されて来た。
一見して樹木もない吹きさらしの湿原が水平線まで続く。
Bogの地の中では生命の循環と再生が延々と続いている。
この展覧会では硬質な地面を持つアラン島と足下で蠢く柔らかな土壌を持
つBoglandを展示している。
(*わたなべ画廊個展でのメセージより)
齋藤 典久
■Adress
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■Saito Class
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